
2005年に新品で買った。
こんな高価なカメラをこれ以前買ったことはない。又、以後買うこともないだろう。
2001年に出た時は更に高く2倍程度の値段で、2005年頃には半額セールといった感があって、この少し後にやっと売り切れる。
さりとて20万円ちょいなんて、買おうとも思えない額である(ブログなどではライカM9やニコンD3シリーズなどの使用記が溢れていて、全くお恥ずかしい限りである)。
このときだけお金があった。
新たな生活を始めようと相手の人と共に貯めていたお金。その必要がなくなってしまった。
天地がひっくり返ったようなショックと、清算をして分けたお金は再び貯金して次の機会に。。。という事にすべきで無い様に思え、買えないものを買おうと思った。
このころはNoctilux F1.0が底値のような時で、HEXAR RF Limitedの半額投売り価格にほんの2-3万円(ほんのじゃない!!)足せば買えた。下手すりゃ新品が買えた。BESSA-Tを使っていて、これにくっつけてやろうとも思ったし、赤坂のカメラ屋で偶然にコシナの小林社長と遭遇した時、私のBESSA-T101の黒をみて、「M3でもノクチだと外すけれど(ピントを)これ(BESSA-T)だとバッチリだ」というようなことをおっしゃっていた。
しかしだ。しかし。ライカ関係の本などを見ると、NoctiluxのF1.0でも最初の頃の世代の方が描画が綺麗だのなんだのと。1.0が現行品だとはいえ一番最後のタイプだ。私自身は描画が同じなら形などはどうでも良いが描画がいまいちなら(いまいちとは書いていなかった。初期の方がより良いといった感じ)べつにいいや。。。と。
--この直後にNoctilux f1.0は生産中止になりとてつもない高騰をする。
だからノクチを買っておけば随分儲かったのになぁともおもったが、まあそれはちょっと本筋からはそれますので--
この頃に一つぐるぐると頭の中を回っていた言葉があった。
「国産賞用」
これは随分古い言葉ではないだろうか。
第二次大戦前、国産の産業を育成しようと、当時から舶来品が好きだった日本人に国産のものを買わせようとしたスローガン、また戦争に向けての準備を感じさせる言葉でもある。
35mm距離計連動カメラ(あたしがガキの頃はこうだった。いつの間にかレンジファインダーカメラという呼び名になっていたなぁ)のわが国の歴史は昭和10年(1935年)のハンザキヤノン(キヤノンの初代機)に始まり国策カメラニッポンなどが加わり、戦後Nikonの参戦、ライカを追い越そうとする勢いがあったがライカM3出現以降1眼レフに専心した日本のメーカーは距離計連動カメラから撤退、最後まで残っていたキヤノンも7sで最後となり、在庫販売のような形で1970年頃にはまだ売られていたようであるけれど私がカメラに興味を持った1979年頃には既に過去のカメラとなっていた。
過去というか、死に絶えた種のカメラでまさか復興を遂げるとは思っていなかった。
コンパクトカメラのオートフォーカス(AF)化がやっと達成され、1眼レフもAF化に各社しのぎを削っていたのだろうが、この時点ではまだ未来の話に思えた。
その間も本家ライカ細々と距離計連動カメラを作り続けた。
正確に言えば、経営危機に陥り、、M5などの生産をやめ、身売りをして距離計連動カメラは中断していたがカナダライツでM4-2を生産し始めたということである。
私が最初に読んだ本には経営危機であり別な会社の資本下に入ったが、「M4をカナダで再生産し始めたようである」といった記述だった。
しかしM4-2で一旦後退したカメラもM4-P、そしてやっとTTL露出計を再び乗っけたM6となるが基本的にはM4-2から同じ形で随分長い間生きた化石のような存在だった。これはこれで永久に残るかなとも思えた。
ライカだけが残った距離計連動カメラだが(実は旧ソ連では綿々と残っていたがこの頃は鉄のカーテンの外で別世界だった)、距離計連動カメラに憧れを持ち、ライカがほしいんだけれど国産が本家ライカと距離計連動カメラを追いかけていた輝かしい時代が再び来ぬものかと諦めに近い望みを持っていた人間にとって、国産距離計連動カメラ復活、この時代にはもうレンジファインダーカメラ(RFカメラ)復活のニュースは衝撃で、ライカはすさまじいファンがいるからそちらは任せておいて、なんとしても国産RFカメラは持ちたいものだと切望した。
HEXAR RFはLEICA M6の中古価格を念頭に於いて価格設定されたので、当然高級カメラで手も足も出ない。レンズも同様で高価だった。
随分前置きが長くなったが、NoctiluxではなくHEXAR RFのリミテッドレンズに向かわせたのはこのような思いがある。
この大きな前玉に店頭で魂を吸い込まれ、国産賞用・国産賞用とぶつぶつ唱えた。
それでもすぐこのカメラ(レンズ)を買ったわけではなかった。
HEXANONの1.2なら1眼レフ用のARマウントのものが良いと聞きまず中古で買う。
これで諦めようと思ったが、諦められない。
だけどこんな高価なものを買うのはいくらなんでもととどまったつもりがとどまりきれない。
でもいくらなんでもまずいというのでLマウントの60mmf1.2の新しいのの中古を買う。
この頃はまだ今みたいなプレミアムが付く前だが。
しかしそれでも諦められない。。。
とうとう、1.2トリオを形成してしまい、最初にHEXARのセットを買っておけば予算内に収まったのに、大きく予算をはずれ借金を形成してしまった。
これも今から考えれば、羽目を外さないとやりきれなかったのだと思うが。
現在は60mm1.2とARマウントの57mm1.2は手放し、HEXAR RFとのセットレンズの50mmf1.2だけが手元にある。
当初はレンズだけ自分が使い、カメラの方は未使用のまま売ろうと思ったのだがしかし、HEXAR RFというカメラは発売当時から指をくわえてみていたカメラであり、使ってみたいという衝動に駆られ、私の眼に合った視度補正レンズまで買ってきてしまった。
これが悪かった。視度補正レンズをつけると、風評を鵜呑みにしてよくないと思っていた距離計は大変良い事が分かった。
フィルム巻き上げレバーがないことがアンバランスに思えたが使ってみると巻き上げレバーを廃したKonicaの英断は賞賛に値する事が分かり、ボディーのホールディングのバランスも誠に良く、丈夫で大変良いカメラである事が分かり、そのうちに擦り傷が付き、黒い塗装の部分は剥がれてきて(これがすぐはがれる)、あまりお金になりそうもない状態になってしまった。
おかげで今も手元にある。
上にも書いたが、大変丈夫なカメラである。
1/8秒くらいなら手持ちで逝こうと勇気を持たせてくれるホールディングの良さ。
この写真は1.2開放で1/8秒で撮った。

ライカファンにはとやかく言われたカメラだが、間違いなくこれは名機だ。
今尚実用機としての人気は高い。
電気仕掛けだからいつかは事切れるだろうが、何時までも通電し、長いこと持たせたい。
使っているうちに愛着を持つカメラ。
このレンズも切れが良く、本来日本人が好む優等生タイプの気持ちの良い描画だ。
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テーマ:★カメラ&レンズ・機材 - ジャンル:写真
- 2009/11/20(金) 01:52:01|
- 放)HEXAR RF
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